「小学校では行けなかったけど、中学になれば行けるかもしれない」
「環境が変われば、気持ちもリセットされて登校できるようになるかも」
そう思う気持ち、とてもよくわかります。親としても、「このまま家にこもり続けてしまうのでは…」という不安があるし、中学入学は「新しいスタート」として期待を持ちたくなりますよね。
でも、もしお子さんが 「人の目が怖い」「会話が苦手」「トイレや食事が不安」 などの繊細な特性を持っている場合、中学という新しい環境は「リセット」ではなく、「新たなストレス」になることもあります。
もちろん、環境が変わることで状況が良くなる子もいます。でも、不安の根本にある「苦手なこと」がそのままだと、新しい環境はむしろ負担になってしまうんです。
では、どうすればいいのか?
「行けるかどうか」を考える前に、まずは 「学校が怖くない場所だと感じられる準備」 を優先することが大切です。
中学に入れば行けるようになる?環境の変化だけでは解決しない理由
「中学は小学校より自由だから、もしかしたら大丈夫かも?」と思うかもしれません。
実際、中学では…
✅ 授業ごとに教室を移動することが増える(同じ席に座り続ける必要がない)
✅ クラス替えがあるため、新しい人間関係がリセットされる
✅ 先生も変わるため、小学校の先生との関係を引きずらなくて済む
✅ 部活や委員会など、好きなことを通じて関われる場面が増える
このような「変化」がプラスに働く子もいます。
でも、HSC(繊細な子)や、不登校経験がある子にとっては、逆にこれが「不安材料」になることも。
たとえば…
👤 「教室移動があると、どこにいればいいかわからなくて怖い」
👤 「新しいクラスメイトがみんな知らない人だと、余計に話しかけられない」
👤 「先生が変わることで、また一から説明しなきゃいけないのがしんどい」
「中学なら大丈夫」と思いたくなる気持ちは自然なこと。でも、不安の根本にある「人の目」「会話」「トイレ」「食事」などのハードルをそのままにしてしまうと、たとえ環境が変わっても苦手なことが増えるだけになってしまいます。
まずは「安心できる環境を作ること」が最優先
中学に向けた準備で大切なのは、「行けるようにすること」ではなく、「安心して学校と関われるようにすること」です。
たとえば、今のお子さんの状態を思い浮かべてみてください。
🏠 外出はできていない
📚 家では少しだけ勉強ができている
📩 学校とは最低限のやり取りをしている
この状況なら、いきなり「通うための準備」をするよりも、まずは「学校=怖い場所ではない」と思えるような小さなステップを踏むほうが大切です。
たとえば…
🔹 写真や動画で学校の雰囲気を知る(いきなり見学に行かなくてもOK!)
🔹 先生と直接話すのが難しければ、手紙やメールでやり取りをする
🔹 「登校しなくても学べる方法」を知ることで、プレッシャーを減らす
このような「安心できる環境づくり」が先にあると、お子さんの心の負担が減り、「中学」という言葉を聞くだけで不安になる…という状態を少しずつ和らげることができます。
【体験談】登校を目標にしないことで、気持ちが楽になった例
🔹 息子(12歳)の場合
小5の後半から学校に行けなくなり、外出も難しい状態。家では動画を見たり、本を読んだりはできるけれど、「学校」という話をされるとすぐに気持ちが落ち込んでしまう。
私は「せめて中学には行ってほしい」と思い、制服を準備したり、朝起きる練習をしたりしていました。でも、それが逆に息子にとってプレッシャーになり、部屋から出てこなくなってしまったのです。
そこで、私は考え方を少し変えました。「登校できるかどうか」ではなく、「学校が怖くない場所にすること」を目標にしたのです。
✅ 学校の写真を見せながら「こんな感じの場所なんだね」と話す
✅ 担任の先生とZOOMでやり取りをする(直接話さなくてもOK)
✅ 「学校に行かなくても学べる方法もあるよ」と、選択肢を提示する
すると、息子の表情が少しずつ変わっていきました。「絶対に学校に行かないといけない」という思い込みがなくなり、「ちょっと気になったら、動画で授業を見てみようかな」 という気持ちが出てきたようです。
「登校するための準備」をしなくても、学校とのつながり方を工夫することで、少しずつ前向きな気持ちになることができるんですね。
「でも、最低限の準備は必要では?」という不安について
「でも、やっぱり最低限の準備は必要なのでは?」
そう思うのも当然です。
「いざ行きたくなったときに、準備が何もできていないと困るのでは?」
「まったく関わらないと、ますます学校が遠い存在になってしまうのでは?」
確かに、まったく何もしないのは、お子さんにとっても不安が大きいかもしれません。だからこそ、「登校するため」ではなく、「不安を減らすための準備」をすることが大切 です。
たとえば…
💡 「朝起きる練習」ではなく、「家で気持ちが落ち着く朝のルーティン」を作る
💡 「授業についていけるようにする」ではなく、「好きな教科だけ学んでみる」
💡 「クラスに馴染めるようにする」ではなく、「先生とだけつながってみる」
このように視点を変えると、プレッシャーを感じずに、自然と「中学入学」に向けた準備ができるようになります。
大切なのは「安心できる環境を作ること」
中学入学に向けて、焦る必要はありません。
「登校できるようになるために」ではなく、まずは「安心できる環境を作ること」から始めましょう。
「登校」がゴールではなく、「お子さんが安心して成長できること」がゴールです。
焦らず、ゆっくり、一歩ずつ進んでいけば大丈夫です。
必要な準備・不要な準備(HSCの特性を考慮)
「何から準備すればいいの?」
中学入学を控えていると、「少しでもスムーズに学校生活が送れるように」と、親としてできることを考えますよね。でも、不登校の子、特にHSCの子にとっては、「みんなと同じように準備すること」が必ずしもプラスになるとは限りません。
むしろ、一般的な中学準備がプレッシャーになってしまうこともあります。
だからこそ、本当に必要な準備と、逆に不要な準備を見極めることが大切です。
✅ 必要な準備|「安心して学校と関われる方法」を見つける
まず、HSCの子が不安を感じやすいポイントを整理してみましょう。
✅ 人の目が気になる
✅ 会話が苦手
✅ お腹が痛くなりがちなのが不安
✅ 給食や昼休みがストレス
こうした不安を抱えている子にとって、いきなり「登校を目指す準備」をするのは負担になります。大切なのは、少しでも「学校=怖くない」と思えるような準備をすること。
では、具体的にどんな準備ができるのでしょうか?
1. 「学校の雰囲気を知る」だけでOK!無理に見学はしなくていい
「見学に行ったほうがいいのかな?」と迷う方も多いですが、無理に行かなくても大丈夫です。
🏫 方法①:学校の写真を親が撮ってくる
➡ 学校の建物、昇降口、教室の入り口などの写真を見せて、「こんな雰囲気だよ」と伝えるだけでも安心感につながる。
🎥 方法②:学校のHPや動画をチェック
➡ 最近は学校の紹介動画があるところも。音や雰囲気を感じるだけでも、「知らない場所」ではなくなる。
2. 先生や学校と「話さなくてもつながれる」準備をする
「会話が苦手」なお子さんにとって、先生と話すこと自体がプレッシャーになることも。でも、話さなくても関われる方法があります。
📩 方法①:先生と電話やZOOMなどでやり取り
➡ 「学校に行けるかはわからないけど、できる範囲で勉強している」と伝えるだけでもOK。先生がどんな人か知るだけでも安心感につながる。
📚 方法②:プリントのやり取り
➡ 先生にお願いして、家でできるプリントや課題をもらう。学校とのつながりを少しでも持てると、「取り残されている感じ」が減る。
3. トイレの問題を事前に相談する
HSCの子は、トイレに関する不安を抱えやすいです。「おなかが痛くなりやすい」「おなかがゆるい」「入りにくい」など、理由はさまざま。
「別のトイレを使えないか」を相談
➡ 「校舎の端のトイレ」「保健室の近く」など、人が少ないトイレを使わせてもらえないか、学校に相談しておく。
4. 昼食の不安を減らす工夫をする
「みんなと食べるのが苦手」「給食が食べられない」など、昼食の時間がストレスになることも。
🍱 方法①:「給食は無理しなくていい」と伝える
➡ 「食べられなかったらどうしよう」と心配しなくていいように、残しても良いか?弁当持参ができるか事前に相談しておく。
🏠 方法②:「昼食の時間は家で食べてもOK」にする選択肢も
➡ 「午前中だけ登校し、昼食は家で」などの柔軟な選択肢があると気持ちが楽に。
❌ 不要な準備|プレッシャーになるものは省いてOK!
逆に、「これはやらなくても大丈夫」というものを紹介します。
🆖 無理に学校見学に行く
➡ 「見ておいたほうがいいよ」と言われても、本人が嫌なら行かなくてOK!
🆖 「朝型の生活にしよう」と焦る
➡ 生活リズムは、実際に登校することになったら整えればいい。
🆖 「友達を作る練習」をする
➡ HSCの子にとって、無理に人間関係を作ろうとするのは負担に。
親ができるサポート(HSCの特性をふまえて)
✅ お子さんの気持ちを否定せずに受け止める
✅ 「行く・行かない」ではなく「どうすれば安心できるか」を考える
✅ 親も相談できる場所を持つ(不登校の親のコミュニティなど)
「登校できること」よりも「お子さんが安心して過ごせること」を大切にしましょう。
不安をなくしてあげることが大切なんですね
まとめ|焦らず、子どもに合った準備をしよう
不登校の子の中学準備は、「行けるようにすること」ではなく「安心できる環境を作ること」が大切。
💡 親ができること 💡
✅ 学校の雰囲気を知るだけでもOK!
✅ 話さなくても先生とつながる方法を見つける
✅ トイレ・昼食の不安を事前に相談する
✅ 「行くこと」ではなく「安心できる準備」を優先する
「みんなと同じ準備ができなくても大丈夫。お子さんのペースで、無理なく進めればいいんだ。」
そう思えるだけでも、少し気持ちが軽くなりませんか?
親も子どもも、焦らずゆっくり、一歩ずつ進んでいきましょう。